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soraaji 02いろいろめもPAGE | 329 328 327 324 323 322 326 321 320 325 319 | ADMIN | WRITE 2014.11.25 Tue 00:02:15 研究のこと中学生の頃、「見つける人になること」という作文を書いた。 当時の私には「盲導犬訓練士になる」という将来の夢があって 仙台の訓練センターに見学に行った話から始まって、もっと視野を広く、色んな物事に気づきを得ることの出来る人になっていきたい、というような内容だった(ハズ)。 高校生になってからは生物学が楽しかった。 美術部で描く絵は生き物や生物学をモチーフにしたものが多かった。 中でも中二病の私は「アポトーシス・プログラム細胞死」に激しく心を揺さぶられた。 約束された死、約束された消失。それはなんて悲しい約束だろうか。と心の中で物語が爆発していた。 そうして生まれた絵がこの記事に貼ってある物。 懐かしい。他人からは対して評価されなかったけれど、お気に入り。 盲導犬の訓練士学校に行くか、大学に進学するかで悩んだ。 親や担任の勧めに従って、結局大学進学を選んだ。大学でしか学べない経験があるから、と。 推薦入試でぬるっと合格して、ポンツカに喜びのメールを送る。 「合格できました。生物学を頑張ります。」と書いたら、メールが読まれた。 「がんばってね、新しい生物を発見したら、また教えてくださいね」って、ちゃまかふじくんが言っていた。 アポトーシスや再生医療に興味があったので「いや、まあ、発見するって感じでもないんだけどね~」なんて思っていた。 大学2年の夏、臨海実習で偶然「顎口動物」に出会う。 世界的にもマイナーな生物。いないことは無いだろうけど、日本からは正式な記録もない。 何年も臨海実習で生き物探しをしている先生も、まだ見たことが無いという。 それが、私が吸い取ったスポイトの一滴から見つかった。 ヘンテコな、何にも考えてなさそうな、小さな小さな生き物だった。 ぶよぶよしていて、すい~っと滑るように動いていく、ミミズみたいな形の、生き物。 先生の感動ぶりにわたしも触発される。 「これ、日本初記録になるよ、これやったら、その瞬間から第一人者になれるよ」 なんて本気と冗談が混じったような先生のセリフにその気になる。 私がやらなきゃ誰がやるだろうか、こんなマイナーな生物。 現時点で98種が既記載の小さな動物門。海産で自由生活の微小間隙性生物。 口から繋がる咽頭の中に「顎」を持っているのが特徴。 どの先生も知らない。そんな生き物。研究室の担当教員の先生だけがかすかな希望。 3年の夏も4年の夏も臨海実習に着いていって、ひたすら採集。 採ってきたサンプルを観察し始める。 実は扁形動物なんじゃないか?というような紛らわしいやつらが沢山いる。 どれが顎口動物が、図鑑を見ようにもそんなものは無い。 知りたければ自分で記載論文を漁ってみるしかない。 人に聞いてみても、正確なことはわからない。たぶん、が積み重なる。 だんだん心細くなってくる。 ほんとにこいつらは顎口動物なんだろうか? 自分が一生懸命顕微鏡を通して見ている世界はなんなんだろうか? 分からない、わからない。合っているのか?間違っているのか? 論文も沢山沢山積み重なる。重要な資料に限って、一ミリも学んだことの無いドイツ語だったりする。焦る。時間がかかる。ほかにもやることはある。う~ん。嫌になる。 そもそも顎が見えない!焦る焦る。 ほんとうにそれが顎口動物だって言えるのか?と他の人に迫られて、口ごもってしまう自分が情けなくなる。 卒業研究の締切は数か月後に迫っている。 その前に中間発表みたいなものもある。結果が出せるのか?焦る、焦る。 そして今日。 顕微鏡写真を見返していたら、あった。 顎口動物が顎口動物たる所以、「顎」が映っていた。 嬉しさで涙がでる。 もっと早くに見つかっていたはずかもしれない、わたしがトロいだけだったかもしれない でも嬉しい。やっと見つかった。やっと確実に言える。これは、顎口動物です。 まだまだこれからだけど、やらねば。 卒研発表会は2月14日。どの程度まで研究を詰めて行けるか。 やるべきことはいっぱい。 でも今、日本で一番顎口動物のことを考えているのは私だろう。 来年は就職してしまうから、限られた時間の中で精一杯やるしかない。 未記載種を見つけたら、ぽんつかにお便りを出そう。 知らぬ間に、ある意味「見つける人」に近いことをやっている。 視野を広く。深く深く。 PR CommentsComment Form |